熟年離婚に備えて知っておきたい、離婚前のお金の準備
日本では、一時ほどではないものの離婚する夫婦は未だ多く、その中でも熟年離婚するカップルの数が増えています。
熟年離婚することを決めたら、すぐにでも離婚届を出したいと思うでしょうが、準備をしないまま離婚してしまうと後悔することになりかねません。
特に、夫婦のいずれかが専業主婦(夫)の場合など、無計画に離婚すると、離婚後の生活に困窮する場合が多いです。
そこで、ここでは熟年離婚に備えて知っておきたい、離婚前のお金の準備について解説したいと思います。
熟年離婚をお考えの方もそうでない方も参考にしてみてください。
熟年離婚する前にやっておくべきお金の準備
熟年夫婦が離婚する前、どのようにお金の準備をしておけばいいのでしょうか?
生活費の計算
熟年夫婦が離婚する場合、まずやるべき準備として挙がるのは、離婚後の生活費がいくら必要か計算することです。
もし、今住んでいる住まいを出て新しい部屋を借りる場合は毎月の家賃が必要ですし、光熱費や食費、医療費などさまざまな生活費がかかってきます。
具体的にどういうものにいくら必要なのか、きちんと洗い出しておきましょう。
財産分与
夫婦が婚姻期間中築いた財産は共有財産となり、基本的に財産分与すると決まっています。
ただ、離婚の際の状況や財産の種類によっては財産分与の対象外となる場合もありますし、夫婦いずれかが財産を隠している場合もあります。
離婚後の生活に困らないためにも、熟年離婚する際の準備として財産分与を適切に行うべきです。
たとえば、財産分与に含まれるものに退職金があります。
夫が20~60歳まで働いた場合で、30歳で結婚し50歳で離婚するとしましょう。
この時、夫の退職金は40年間分となりますが、婚姻期間は40年ではなく30年となります。
そのため、20年間の婚姻期間分の退職金が対象となります。
このケースで、夫の退職金が3,000万円だったとします。
単純に割ると、20年分の退職金は1,500万円となり、その半分である750万円が妻が受け取る額となります。
離婚する際夫がすでに退職し、退職金をもらっている場合は妻は受け取りが可能です。
また、近々に退職金をもらう予定が立っている場合、まだ取得していなくても対象となることもあります。
住宅ローンの支払いなどで退職金を使ってしまっている場合もあるため要注意です。
また、財産分与の対象となるものは預貯金だけでなく、不動産、車、保険や家財道具なども含まれると決まっています。
ただし、注意したいのが相続と同じで離婚時の財産分与は負の財産も対象となることです。
夫婦で作った借金は離婚するとき精算し、その後残った財産を分割することになるでしょう。
このように、財産分与を行う場合は金額が大きいことも多いですから、離婚後の生活設計のため、よくよく対象、金額を確認しておくことをおすすめします。
年金分割
熟年夫婦が離婚する場合に重要なのが年金分割です。
年金分割とは夫婦生活を行っている間支払った厚生年金について分割するもので、対象となるのは結婚していた期間に厚生年金で支払った月数です。
半々で分割を行うことがほとんどとなります。
一方で、自営業など個人事業主の方は厚生年金に加入できないため、公的年金は国民年金のみであることも多いです。
この場合、年金分割は行われません。
また、厚生年金基金、確定拠出年金などは、財産分与の対象とみなされることが多いようです。
それらについてもしっかりと調べておきましょう。
仕事を探す
財産分与や年金分割があったとしても、生活費が十分に賄えない場合、仕事をして生活費を稼がなくてはなりません。
特に専業主婦(夫)が熟年離婚を選択する場合、離婚前の準備として仕事を探しておくことをおすすめします。
離婚するまでに仕事が見つかっていなければ、生活に困ることになるからです。
熟年離婚の場合は特に年齢的な問題で仕事を探すのが難しいことがほとんどで、思うような仕事に就けないこともあります。
そのため、生活に困ってしまい精神的なストレスを抱えるケースも増えています。
また、熟年離婚となれば、正社員で働くのが困難なケースが多いため、まずはパートやアルバイトから始め、少しずつ働く時間を増やすなど工夫しましょう。
離婚するまで全く仕事をしていなかった専業主婦(夫)の場合は仕事をすることに不安な場合が多いです。
そのため、少しでもスムーズに仕事が始められるよう資格を取ったり、パソコンのスキルを身につけるなどの準備が必要です。
まとめ
熟年離婚に備えて知っておきたい、離婚前のお金の準備について、どのようなものがあるのか解説しました。
すぐに離婚したいという気持ちも分かりますが、慌てて離婚してしまい後で生活に困るようでは元も子もありません。
離婚後の生活が楽しく快適であるよう、熟年離婚前にしっかりとお金の準備をしておきましょう。